月例経済報告等に関する関係閣僚会議 首相官邸(産経新聞社より)

月例経済報告とは

景気に関する政府の公式見解を示す報告書。

内閣府が景気動向指数に基づいて月次で取りまとめ毎月10日前後に発表される。経済財政政策担当大臣が関係閣僚会議に毎月1回報告、了承を得て初めて公表される。

原案は内閣府のエコノミストが中心になって準備し、財務省、経済産業省などの経済関係省と調整し、まとめあげる。

冒頭の基調判断の部分で経済全般を総括的に評価し、個人消費・設備投資・住宅建設・公共投資・輸出・輸入・貿易・サービス収支・企業収益・雇用などの個別要素の動向についても言及する。基調判断部分では「弱含んでいる」「改善に足踏みがみられる」「持ち直しの動きがみられる」など独特の表現が用いられ、前月からの変化に注目が集まる。

この「月例経済報告」は経済財政担当相が関係閣僚会議にそれだけに「月例経済報告」は多くの経済関係指標の中でもっとも重要であり、また多くのひとに注目されている。

月例経済の問題点

しかし問題点がいくつかあります。

それは政府の公式見解なだけに、景気の悪いときには悪いと言いとはっきりと言わず、逆に景気転換期には実態以上によい表現になりがちという偏りを持つことが多いのです

たとえば、1999年の「月例経済報告」は数カ月にわたって物価上昇率と生産がマイナスを続けいるのにもかかわらず、政府は正直にデフレと認めなかった事例があります。

バブル崩壊寸前の1989年には景気のピークを迎え、資産価格下落に転じ始める。景気悪化のシグナルが点滅したが、政府エコノミストの景気見通しは「いざなぎ超え」で一致していた。

当時の日経平均株価は「いつ4万円に乗るか」と期待されており、戦後最長の景気拡大が目前に迫っていたこともあって、官庁ばかりでなく民間のエコノミストも景気の先行きに楽観的であった。

しかし現実には、このときすでに景気はピークを過ぎ悪化の一途をたどっていた。1990年初めからの株価の下落は、株式、債券、円が揃って値下がりしたことから「トリプル安」と呼ばれた。

1999年のITバブル崩壊にともなう景気悪化のときも状況は同様であった。これらの例は、客観的であるべき政府の景気判断が政治的な判断や思惑によって歪められる可能性があることを意味しています。

景気判断には月例経済報告が役立つ

正式な景気拡大期間の判断は、有識者でつくる「景気動向指数研究会」での議論を踏まえ、内閣府が決める。経済指標の推移を一定期間見極める必要があるため、数か月から1年程度かかる。

また、こうした政府の公式の見方とは別に、政府首脳や日銀関係者が意見を発表するが、これはいずれも政府や日銀の公式見解でありません。単なる個人的に見方を発表することもあり、これらの中には、自分の属する組織の利害を直接反映するような見解もあることもあるため、これらをそのまま鵜呑みにすると景気判断を誤る場合がある。

このような問題点がいくつかあるが、常に政治的な判断や思惑によって判断されているとは限りません。

もちろん「月例経済報告」が景気判断としてかなり的確であることもあるが多いです。政府は2005年初めに「月例経済報告」で数ヵ月にわって「景気は踊り場にある」と繰り返し述べていたが、同年秋の「月例経済報告」では「景気は踊り場を脱して、ゆるやかに回復している」と、従来よりも一歩踏み込んだ見方を示しました。

翌2006年の2月には「景気は回復している」と、されに一歩進んだ見方を表明したが、後になって2005年10~12月のGDPが発表されて見ると、年率5%という高い成長を実現しており、景気に対する政府の見方が正しかったことが明らかになりました。

このように、景気の山なのか、谷なのか、はたまた現状維持なのかを判断するのに役立つのが「月例経済報告」です。今後の景気判断に活用してみてください。