日本人の資産運用の比率は?

私たち日本人はどのくらいの証券投資をしているのでしょうか?

(日本銀行調査統計局2019年8月29日「資金循環の日米欧比較」)

このデータは日本銀行が調査したもので、その内訳によると、日本人が保有する金融資産は1835兆円にものぼります。

日本のGDPが558兆円なので、その3倍強の資産を私たちは、保有していることになります(日本銀行「資金循環統計」2019年7月期)。

1835兆円の中で、預貯金の割合を見てください。

日本・・・53.3%

アメリカ・・・12.9%

ユーロエリア・・・34.0%

ご覧の通り、50%を超えているのは日本だけです。

続いて、次の数字に注目してみてください。

日本・・・15.2%

アメリカ・・・52.8%

ユーロエリア・・・29.9%

これは債務証券、投資信託、株式等といった「運用資産(投資商品)」の割合を示したものです。

日本は家計に占める投資商品の割合が圧倒的に低いことが分かります。ユーロエリアと比べても2倍弱、アメリカと比較すると3倍以上も差があるのです。

この16.2%が正確な数字であることを証明する根拠がもう一つあります。

それは日本の証券口座数と日本の人口です。

日本証券業協会の調査によると2019年6月時点で、2479万口座です。

人口は約1億2600万人ですので、単純に計算すると17%となります。これは証券投資比率と、ほぼ同じ数字です。

しかし、投資家の間には複数口座を持つ人も少なくないので、株式を保有している人の割合は17%ではなく、1割前後あればいい方ではないでしょうか?

しかし、欧米の状況は、大きく異なります。特にアメリカと日本の状況は対照的と言ってもいいでしょう。

こう見ると、日本人はリスクを嫌い、アメリカ人は積極的にリスクを取るタイプで、欧州はバランスが良いと言えます。

なぜ日本人は預貯金に偏るのか

海外の人たちからすると、「お金は上手に資産運用して増やすもの」という考えが当たり前な考えです。

しかしなぜ、日本人の資産運用が預貯金に偏り、株式などの投資への関心が薄いのでしょうか?

その理由として、日本では学校でお金の教育が一切行われていないことが挙げられます。

私たちは日本人は学校で、お金についてきちんと教わることがないからです。

欧米と異なり、日本では経済とお金に関する教育を受ける機会がほとんどないまま成人して社会に出るのが一般的ですから、それは致し方ないことなのかもしれません。

他にも、高度経済成長期の団塊世代より上の人たちは、個人で積極的に投資する必要がありませんでした。

その理由として、当時は手厚い年金制度が当たり前で、終身雇用に伴う大金の退職金があったため、自分で資産形成しなくても社会が面倒を見てくれたから大丈夫だったのです。

一方、欧州や米国は違います。

欧州の福祉国家は医療や年金といった支えが充実していますが、日本のような終身雇用制度はありません。

米国にも終身雇用制度はなく、近年まで医療保険も個人の選択制でした。

欧米の人たちは、人生設計の大前提として、自分で資産を作り、備えないといけない社会で生きていけないからです。

環境が違えば行動も変わる。日本人が預貯金を選び、投資を遠ざけてきたのは、わざわざ投資のリスクを取らなくても安定した人生を送れたからなのでしょう。

日本にも投資が盛んだった

しかし、こんな日本にも、投資が盛んな時期があたのです。

それは、バブル経済の時代です。

1989(平成元)年12月29日、年内最後の取引日「大納会」を迎えた東京証券取引所で、日経平均が史上最高値を付けました。

終値は38,915円87銭、取引時間中の高値は38,957円44銭。

誰もが夢を見たバブル経済の絶頂期の記録です。

しかし、バブル経済もそう長く続きませんでした。

その様な時代の背景の中、多くの日本人が投資に消極的になっていきます。

このバブル崩壊により、「投資は怖い」「素人が手を出すと大損する」といったマイナスイメージが、多くの国民の頭に植えつけられてしまったことが、現在投資をする人が少なくなった要因だと考えられます。

海外では当たり前のお金の教育

それに対して、欧米など海外では、小中学校で経済や投資などお金について学べる環境が整っています。

親が子供にお金を渡し、小学生の頃から、株などの資産運用を行っている子供もいます。

投資、株式、利回りといった資産運用や金融に関する最低限の知識を、早い段階から学んでいるのです。

こう見ていくと、日本人は投資が好き嫌いというより、投資をする必要がなかったため、結果として預貯金での運用が主流になっていたのかもしれません。